弁護士法人岡林法律事務所 代表弁護士 岡林 俊夫 PROFILE

弁護士法人 岡林法律事務所
代表弁護士 岡林 俊夫

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岡林法律事務所 WEB SITE 4 取引履歴の開示について(弁護士ドットコムの連載記事 4)

今回は,取引履歴の開示について,ご説明しましょう。

任意整理(分割弁済)の基礎となる計算をするためにも,過払い金の返還請求をするためにも,サラ金業者に取引履歴を開示させることは不可欠です。ところが,サラ金業者は利息制限法に引き直す以前の金額で和解することを狙ったり,過払い金の返還請求を防ぐために,取引履歴を出さないようにするものです。そこで,サラ金業者にどのように,取引履歴を出させるかということについて,考えてみようと思います。

1 受任通知の発送
まず,一番初めの手段は,受任通知を発送することです。
受任通知の発送は,弁護士が,債務者(委任者)の債務整理を受任したということを債権者に伝えるためのもので,これにより債権者は債務者に対して直接請求できなくなります。しかし,受任通知には,取引履歴を開示するようにという文言が入っており,受任通知は,取引履歴の開示の初めの一歩でもあります。
受任通知には,いつまでに取引履歴を開示するようにという文言が入っています(私の場合は一週間としています。守られることはまれですが。)。

そして,取引履歴を開示しないことはガイドラインに違反しており,財務局に申告する旨も記載されています。さらに,取引履歴の開示がなされない場合には,過払い金返還請求訴訟になる旨も記載されています。 つまり,受任通知には,取引履歴の開示について,今後の展開が記載されており,取引履歴が開示されない場合の不都合が明らかになっており,強く取引履歴の開示を求める形になっているのです(実体としては脅しに近いです)。 そして,受任通知には債務整理の予定が記載されるのですが,破産予定と書くと,それなら開示しなくて良いだろうと判断する業者があるので,受任通知には原則として,「任意整理」と書くことが多いです。ただし,100%,過払い金が生じないと考えられる場合には,「自己破産申立予定」と書くこともあります。
2 FAX送信状
受任通知については,各債権者の担当部署に送ります。どの支店で借りたかということは考慮する必要がありません。ア●●の秋田支店で借りても,横浜支店で借りていても,東京の方に受任通知は送ります。

それと同時に,私の場合,FAX送信状も送ります(第二の手段)。これもどの支店で借りたにしても,担当部署の方にファックスするので,業者によっていつも同じ番号になるのです。

そして,そこには,いついつからの借り入れがあるので,早急に履歴を開示されたい旨と,開示されない場合には,財務局に申告する旨,また,過払い金の返還請求訴訟をする旨が記載されています。いつから借り入れたのかということは,債務者の記憶に基づいて記載します。その資料がなくても構いません。記憶があればそれで十分です。

さらに,FAX送信状には,取引履歴の開示が不法行為に該当するという最高裁の判例(平成17年7月19日)が引用してあります。

内容は,受任通知と類似しているのですが,受任通知は全ての債権者に対して同内容のものを送付するのに対して,FAX送信状は債権者との取引に応じて違った内容のものを送ります。取引の開始時期も記載しますし,過払い金が生じると思われる債権者のみに重点的に送るのです。

さらに,受任通知は一回だけですが,FAX送信状は週一回程度送り,開示されない場合には,何度でも狂ったように送り続けます。このように,何度も請求することが,あとで,慰謝料請求をする場合に,「あれほど請求したのに」ということで,ものを言ってくるのです。また,しつこくFAXを送り続けることで,サラ金業者も出さないわけにはいかないという気分になるのです。
3 財務局への申告
サラ金業者は,大きなところは関東財務局(又は近畿財務局等)で登録されており,小さいところは,都道府県で登録されています。そして,取引履歴をなかなか開示しない業者については,関東財務局又は都知事(又は県知事)に,行政指導の申告を求める文書を送ります。これが第三の手段であり,結構効果的です。
財務局への申告後には,サラ金業者から慌てて電話がかかってきて,今後はすぐ出しますので,財務局への申告だけはもう止めてくださいなどと言ってきます。
一度,こういうやりとりをすると,サラ金業者にこちらの名前を覚えてもらって,早急に取引履歴を出してもらえるようになるものです。
4 過払金の返還請求訴訟
度重なるFAX送信状も財務局への申告も屁の河童という業者には,東京地裁に過払い金の返還請求訴訟を提起します。
取引履歴がないので,正確な計算はできませんが,いつ頃から借り入れたのかという推測に基づいて,取引履歴を仮に計算して,それに基づいて,不当利得返還請求訴訟を提起します。地裁に提訴すれば,弁護士か代表者しか出頭できないので,地裁に提訴します。名目的支配人が出頭してきた場合には支配人性を争います。
地裁に提訴すると,放っておけば欠席判決となりますので,どのような業者でも,最終的には取引履歴を出してくることになります。
5 まとめ
このように,取引履歴を開示させる方法は多数ありますので,業者が最後まで取引履歴を隠し通すことは決してできません。
ただ,いずれも,弁護士でないと難しい方法なので,債務整理については,まず,弁護士に相談することをお勧めします。しかも,経験のある弁護士だと,なお,好都合です。